ChatGPTを使っていても、「どのように指示すればよいかわからない」「回答が長すぎる」「思ったような文章にならない」と悩むことがある。毎回ゼロから依頼文を考えるのも手間がかかる。
そのようなときは、ELI5やTLDRなどの短いラベルを付けた「コマンド風プロンプト」が便利だ。本記事では、ネット上で紹介されているコマンド風プロンプトを整理し、それぞれの意味や用途、コピーして試せる入力例を解説する。
ChatGPTのコマンド風プロンプトとは?短いラベルで依頼を伝える方法
この記事で紹介するコマンド風プロンプトは、特定の処理を依頼するための短いラベルであり、ChatGPTに組み込まれた固定コマンドではない。今回確認したOpenAI公式情報の範囲では、22項目の決められた一覧や必須構文、大文字と小文字の規則は案内されていない。
OpenAIは、良い回答を得るために、指示を明確かつ具体的にして、必要な文脈を与えることを推奨している。詳しくは、OpenAI公式のChatGPT向けプロンプト作成のベストプラクティスで確認できる。
ChatGPTでコマンド風プロンプトを使うメリット・デメリット
コマンド風プロンプトには、依頼を短く整理できるメリットがある。一方、ラベルの意味が曖昧なままだと、期待と異なる回答になることもある。
メリットは短く入力でき、依頼の型を再利用しやすいこと
コマンド風プロンプトを使う主なメリットは次のとおりだ。
- 長い依頼を短いラベルで整理できる
- 要約、比較、書き換えなど、目的別に使い分けられる
- よく使う依頼をひな型にして、毎回指示文を考える手間を減らせる
デメリットはラベルだけでは意図が曖昧になりやすいこと
ラベルと対象を入力しても、ChatGPTが利用者の意図を正確に読み取れるとは限らない。また、同じ指示でも回答内容が毎回同一になるとは限らない。
ELI5では説明が単純になりすぎたり、JARGONIZEでは専門用語が増えて読みにくくなったりすることもある。評価基準や元データが不足した状態でCRITICやMETRICS MODEを使うと、主観的な評価や推測が含まれやすい。
ChatGPTの便利なコマンド風プロンプト一覧
ここからは、ChatGPTで使いやすい22種類のコマンド風プロンプトを目的別に紹介する。
理解と学習を助ける4つのコマンド風プロンプト
| ラベル | 意味・用途 | コピー用入力例 |
|---|---|---|
| ELI5 | 難しい内容を幼い子どもにも伝わるように、やさしく説明させる | ELI5: クラウド |
| ELI10 | 小学生程度の読者を想定し、簡単な言葉で説明させる | ELI10: Wi-Fiの仕組み |
| FEYNMAN | 簡単な説明や例えを使い、理解できているか確認しながら学ぶ | FEYNMAN: DNS |
| SOCRATIC | 答えをすぐ提示させず、質問を通じて考えを深掘りする | SOCRATIC: 転職の判断 |
FEYNMANでは、説明後に確認問題を出すよう依頼すると、理解できているか確かめやすい。
やさしい説明では条件や例外が省略されることもあるため、必要に応じて補足を求めるとよい。
要約と情報整理に使える4つのコマンド風プロンプト
| ラベル | 意味・用途 | コピー用入力例 |
|---|---|---|
| TLDR | 長い文章の重要部分を短く要約する | TLDR: [本文] |
| LISTIFY | 文章やメモを箇条書きへ変換する | LISTIFY: [会議メモ] |
| COMPARE | 複数の対象を指定した基準で比較する | COMPARE: Windows HomeとPro |
| CHECKLIST | 作業や確認事項を実行しやすいチェックリストにする | CHECKLIST: 新しいWindowsパソコンの初期設定 |
LISTIFYは既存の文章を項目へ分解したいとき、CHECKLISTはやるべき作業を順番に確認したいときに向いている。
COMPAREで比較結果が曖昧な場合は、機能、価格、難易度、対象者などの比較軸を追加すると、判断材料として使いやすくなる。
文章の書き換えと表現に使える5つのコマンド風プロンプト
| ラベル | 意味・用途 | コピー用入力例 |
|---|---|---|
| HUMANIZE | 機械的に見える文章を自然で読みやすい表現へ直す | HUMANIZE: [メール本文] |
| JARGONIZE | 指定した業界や読者に合う専門用語を交えて書き換える | JARGONIZE: [説明文] |
| REWRITE | 読者、文体、長さなどの条件に合わせて文章を書き換える | REWRITE: [本文] |
| HOOK | 読者の興味を引く冒頭文や書き出しを作る | HOOK: Excelの条件付き書式の記事 |
| STORY | テーマを物語形式で伝える | STORY: パスワード管理の重要性 |
HUMANIZEは、文章の不自然さを減らすための依頼であり、AI判定の回避や人間が書いた文章であることを保証する機能ではない。
JARGONIZEを使うときは、「IT担当者向け」「医療業界向け」のように業界と読者を指定する。専門用語が多くなりすぎないよう、「難語には補足して」「専門用語を使いすぎないで」といった条件も加えるとよい。
REWRITEで文体を指定するときは、存命の作家名を挙げるのではなく、「簡潔な短文」「穏やかな語り口」「専門用語を避けた説明」のように、文章の特徴を具体的に指定すると調整しやすい。
評価・分析・リスク整理に使える5つのコマンド風プロンプト
| ラベル | 意味・用途 | コピー用入力例 |
|---|---|---|
| CRITIC | 指定した基準で文章や企画を評価し、改善点を挙げる | CRITIC: [導入文] |
| PITFALLS | テーマに関する失敗しやすい点と回避策を整理する | PITFALLS: 生成AIで議事録を作ること |
| METRICS MODE | 数値指標を基準に施策や結果を分析する | METRICS MODE: [施策データ] |
| DIALECTIC | 賛成と反対の両面を検討し、結論を整理する | DIALECTIC: リモートワークの是非 |
| PREMORTEM | 計画が失敗した未来を仮定し、原因と対策を事前に考える | PREMORTEM: 新システム導入計画 |
METRICS MODEを使っても、元データにない正しい数値を新しく得られるわけではない。「不足している数値は推測しない」「計算式も示して」と指定し、出力後に元データと計算結果を照合する必要がある。
DIALECTICでは、賛成意見と反対意見を並べるだけでなく、それぞれの根拠の強さも確認するとよい。PITFALLSは一般的な落とし穴を洗い出す用途、PREMORTEMは特定の計画が失敗したと仮定して原因を先回りする用途に向いている。
SNS投稿・採点・アイデア出しに使える4つのコマンド風プロンプト
| ラベル | 意味・用途 | コピー用入力例 |
|---|---|---|
| ThreadWriter | 1つのテーマを複数のSNS投稿へ分割する | ThreadWriter: パスワード管理のコツ |
| SCOREFIX | 文章を指定した基準で採点し、改善案を出す | SCOREFIX: [記事タイトル] |
| TitleBooster | キーワードや対象読者に合わせたタイトル案を作る | TitleBooster: Excelの条件付き書式 |
| IdeaShower | 条件に合う複数のアイデアをまとめて出す | IdeaShower: Windowsに関するブログ記事 |
ThreadWriterは、Xなどへ自動投稿する命令ではなく、投稿文の下書きを作るための指示である。文字数、投稿数、対象読者、口調を加えると調整しやすい。
SCOREFIXの点数は、指定した評価基準に基づく参考値であり、公式の品質評価ではない。TitleBoosterでは、クリックを促すだけでなく、「誇張表現を避ける」「内容と一致させる」と指定すると、読者の誤解を招きにくいタイトルになる。
ChatGPTのコマンド風プロンプトの使い方
基本の入力方法から、複数の指示の組み合わせ方、よく使うルールの保存方法を紹介する。
ラベルに対象を添え、回答に合わせて条件を追加する
コマンド風プロンプトは、ラベルの後ろに処理したい対象を添えて入力する。基本形は次のとおりだ。
ラベル: 対象
たとえば、長い文章を要約するときは次のように入力する。
TLDR: [本文]
例の中の「[本文]」「[データ]」「[タイトル]」などは、実際の文章やデータに置き換える部分を示している。
回答が期待と違う場合は、読者、長さ、出力形式、件数などを補足する。たとえば、HOOK: Excelの条件付き書式の記事で作った冒頭文を調整したいなら、「Excelを使う人向けに、100文字程度で3案」と続けて入力するとよい。
回答が長ければ「200文字以内に短くして」、難しければ「専門用語を減らして簡潔に説明して」、具体性が足りなければ「Windowsでの例を3つ追加して」と依頼できる。すべてを入力し直す必要はなく、不足している条件を追加しながら調整すればよい。
2〜3個を組み合わせるときは処理順を書く
複数のコマンド風プロンプトを組み合わせる場合は、どの処理を先に行うのかを明示する。
たとえば、長文を要約してから箇条書きにするときは、次のように入力する。
TLDR + LISTIFY: 次の文章を3行で要約してから、重要点を5項目の箇条書きにして[本文]
「要約してから箇条書きにする」のように順序を書くことで、それぞれの指示が混ざりにくくなる。組み合わせを増やしすぎると条件が複雑になるため、最初は2〜3個に抑えると使いやすい。
よく使うルールはカスタム指示へ保存できる
毎回指定する読者層や文体は、ChatGPTのカスタム指示へ保存できる。カスタム指示は、回答時に考慮してほしい内容を登録し、チャット全体へ適用するための機能だ。
Web版やデスクトップ版では、「設定」→「パーソナライズ」を開き、「カスタマイズを有効にする」をオンにして、「カスタム指示」欄へ入力する。カスタム指示は全プランで利用でき、変更は既存の会話を含むすべてのチャットにすぐ適用される。詳しくはOpenAI公式のChatGPTのカスタム指示を確認するとよい。
カスタムGPTを利用できるアカウントでは、既存GPTの「指示」に動作や口調などを登録する方法もある。たとえば「TLDRというラベルを受け取ったら3行で要約する」と設定できる。ただし、新規作成や編集の可否はアカウントやワークスペースの提供状況・権限によって異なる。OpenAIはカスタムGPTの提供終了と移行を案内しているため、GPTの作成と編集に関する公式案内で最新の提供状況を確認するとよい。
ChatGPTのコマンド風プロンプトを使う際の注意点
出力された事実や数値をそのまま採用しない
ChatGPTは、誤った定義、日付、事実だけでなく、存在しない引用や出典を、もっともらしく生成する場合がある。OpenAIも、重要な情報は信頼できる情報源で確認するよう案内している。詳しくはOpenAI公式のChatGPTは真実を伝えるのかで確認できる。
特に、次の内容は一次情報や専門家による確認が欠かせない。
- 売上、価格、割合などの重要な数値
- 医療、法務、契約に関する判断
- 引用文、出典、人物の発言
- 製品仕様、制度、規則などの最新情報
- 意思決定に使う分析結果
まとめ|ChatGPTのコマンド風プロンプトはラベルと対象から試そう
ELI5、TLDR、COMPAREなどのコマンド風プロンプトは、要約、比較、書き換え、分析などの依頼を短く整理するのに役立つ。目的に合う入力例を試し、回答が合わなければ必要な条件を追加するとよい。
よく使う依頼はひな型やカスタム指示に保存すると、入力の手間を減らせる。出力された事実や数値は、信頼できる情報源と照合してから活用しよう。
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